《MUMEI》

「‥‥や、やまっ―」


驚き過ぎて言葉にならない紗稀。


‥‥山瀬くんが踏み外して落ちそうな紗稀の片手を引っ張って支えてくれていた。



「山瀬くん、ごめっ、あ、ありがとう‥‥」


一瞬、死ぬかと思った。


涙目で足がガクガク震えていた紗稀を山瀬くんはゆっくりと階段に座らせる。



散らばった本たちを
急いで拾い集める山瀬くん。





その背中に‥‥思わず胸が熱くなった。

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