《MUMEI》

―捻挫した左足は今もガクガクと震えている。



「お前、捻挫してんのに先生が雑用また頼んだんだろう?―それで心配になったんだ―」




紗稀の頭をポンと撫で、いつものように優しく笑う。





「それ、部活でやったの?」



山瀬くんがぐるぐる巻きの包帯
を見て唖然とする。



「うん」 「ドジ」



同時に開いた口。重なった言葉。

まるで、紗稀の言うことが分かっていたような、山瀬くん。



「‥‥何だそれ!」



「それはこっちのセリフ!」





おかしくって‥‥思わずふたりで吹き出した。

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