《MUMEI》

―放課後の夕焼けの光が窓ガラスを通じてオレンジ色に染まる。



「‥‥そういえば、山瀬くん部活は?」



―山瀬くんは、サッカー部。

サッカーは幼い頃からしているらしくて、上手いと有名らしい。



「んーっ」



少し何かを躊躇っている感じ。


一時してから
自分の頭をくしゃっとかきながら山瀬くんは答えた。



「隣の隣のクラスの女の子に呼ばれてさ‥‥」



目線を下に向けたまま話す。


―やっぱ、山瀬くんモテるんだな‥‥。
紗稀は一瞬、―ドキッとした。



「すごいね!山瀬くん、モテるよね〜」


自分で共感しながらうんうんと首を上下に振る。


確かに。このカッコよさだもん。モテないはずないよね‥‥。



でも


「‥‥モテないよ」



しゅんと表情が暗くなった山瀬くん。





予想外な反応で
紗稀は目を真ん丸くした。

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