《MUMEI》

“モテないよ”


―この人は何、言ってんだろう。

あんだけクラスの女子に騒がれて
おまけに呼び出されて
きっと告白されてるだろう。


‥‥きっと、鈍感なんだろうと思った。



「俺さ―」



さっきまで下を向いていた山瀬くんと視線が重なる。


ゆっくりと開く、彼の口。




「自分が大っ嫌いなんだ」




「‥‥え?」




夕日に照らされて体中がオレンジに染まる。


“自分が大っ嫌い”



それはまるで―ずっと山瀬くんが言いたかった言葉―。



紗稀はそんな風に思った‥‥。

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