《MUMEI》 “そんなことない!!” ―ビックリした。 紗稀、めちゃくちゃ大きな声で叫んでいるんだもん。 ハッと我にかえると さらに恥ずかしくなってしまう。 山瀬くんは口を開けてポカンとしている。 「紗稀はちゃんと山瀬くんの良い所分かってるよ?」 ―ダメだ‥‥。 紗稀の口は自分でも止めることは出来ない。 「―だって、今もこうして、紗稀のこと心配してくれたじゃん? 助けてくれたじゃん?」 きっとこれは― 紗稀が山瀬くんにずっと言いたかった言葉だ。 前へ |次へ |
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