《MUMEI》

「ナナリー……」

俺にとってナナリーは、命より大切で…何よりも代え難い大事な存在。

「兄さん…」

目の前にいるロロの柔らかい髪を撫でる。

ロロも、同じぐらい俺にとって大切な存在だ。

どちらも大切過ぎて…比べる事なんて、出来ない…。

「兄さん!」

ハッとしてロロを見ると、その瞳に大粒の涙を溜めて俺をじっと見つめていた。

「ナナリーじゃなくて…僕を見てよ!!」

ロロは俺の肩を掴んでそう叫ぶと、俺の背中に腕を廻してきてギュッと抱きついてきた。

「ロロ…お前もナナリーも同じくらい大切で…どっちも比べられない…」
「僕だけ…僕だけの兄さんなんだから!」

俺の言葉を遮るように、言葉を重ねてきた。

「ワガママ言うな…」
「ワガママじゃ……ワガママじゃないもん!」

ロロはまるでだだっこな子供のように俺の制服を掴んでイヤイヤをする。

「この…聞き分けの無い奴め!」
「わっ///」

まるで小さな子供のように騒いでいる弟を抱き上げて肩に担ぐと、そのまま部屋に戻っていった。

担いで部屋に戻る最中、さっきまで泣いていた筈のロロは一転嬉しそうにキャッキャと俺の肩口ではしゃいでいた。

「何だ、さっきまで泣いてたんじゃないのか?」
「だって///体力無い兄さんが僕を担いでるんだもん」
「うるさい///」

肩に担いでいたロロをやっと戻ってきた部屋のベッドに下ろすと、ロロは両腕を開いた姿のまま横たわっていた。

「さぁロロ…着替えるか?」

そう言いながら制服を着たロロの胸をなで下ろすと、返事ともとれないような声でフニフニ何かを言っていた。

「着替えさせて…兄さん///」

まるで甘えん坊な子供みたいだ…子供だけど。

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