《MUMEI》
目的地へ
「うーん・・・・・・!!ついた!!」

「・・・・・・よかった、噛まれなくて」

今宵と歩雪は9こ目の駅、『太陽の村』で降りた。

この駅は無人駅で、2人以外の人影はない。

今宵はチラッと歩雪の肩を見ると、申し訳なさそうに言った。

「ごめんね、歩雪くん。肩、疲れたでしょ?思いっきり寝ちゃったし・・・・・・」

「ん?大丈夫」

機嫌悪くなくてよかったし、と歩雪はポツリと呟く。

聞こえないように言った言葉が耳に入ったらしく、今宵は聞き返した。

「何か言った?」

「何でも無いよ。どうやっていくの、ヒマワリ畑」

歩雪は話を逸らすように尋ねる。

「んとね。歩いてすぐだよ!!10分ぐらいかな?」

「じゃあ行こ。案内してよ」

「うん!!こっちだよ〜」

今宵は歩雪の前をてくてくと歩き出した。

歩雪も今宵に並んで付いていく。

「晴れてよかったね〜!!」

「ん。太陽が出てた方がキレイに見えるしね」

今宵と歩雪は真っ青な空を見上げる。

もうすぐ、またあのヒマワリ達を見れるんだ・・・・・・。

楽しみだなぁ〜!!

今宵は嬉しそうにクスッと笑うと、ズンズン歩き出した。

「こー。ヒマワリは逃げてかないよ?」

「知ってるよ!!早く会いたいだけだもん!!ほら早く!!」

「ちょ、こー?」

今宵は慌てる歩雪の腕を引っ張り、スキップをやり出しそうな雰囲気で目的地に向かった。

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