《MUMEI》

こんな険しい顔した健太…好きじゃないよ。


「も…健太…っ」

「何で抵抗すんだよ…」

「場所考えてよっ」

「…愛香…」


そんな悲しそうな瞳しないで。

…絶対に私のが…苦しくて悲しいよ。

こんなキス…こんな状況…嫌だよ。

…健太のこと…好き…好きなのに…。


「…健太…やめてよ…離れて…」


何で…こんなことになってしまったんだろう。

何でこんな隙間があいてしまったんだろう。

私のせいなのかな?

私がハッキリしないからなのかな?


私の瞳からは涙が流れた。

健太は私の涙を指で拭うと、私から離れて…公園から出て行ってしまった。


…もう…ほんとにダメなの?

もう…私たちは…。


蝉の鳴き声だけが響く。


私はしばらく、その場から動くことが出来なかった。

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