《MUMEI》

     コート



「っ…しゃあッ!!」



パチンッ!!



ハイタッチを交わす秀皇センターと左45。


ここでのカウンターの大きさは誰よりも彼ら自身が一番理解していた。


この場面で2点差に追い付けたのは大きい。


可能性を繋げた大きな1点だった。



「…」



にも関わらず…


こんな場面で一番声を荒げそうな2人は静かであった。


要兄弟である。



(……何が…起こった?)



結果的に上野がパスをカットしたとはいえ、


上野が出ていなかった場合。


確実にパスは通っていたであろう。


2人は、


それを理解していた。


だからこそ腑に落ちない。



(あいつら…まさか…)



(考えられない…いやでも…)

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