《MUMEI》

    赤高ベンチ



「ふぅ〜っ………」



深いため息をつく安本。



「心臓に悪いな…」



思わず口からそうこぼれる。



「見てるだけなのに疲れますね…」



「…」



「どうかしましたかクロさん?」



口数の減るクロに尋ねる佑香。



「いや…確かに疲れる展開ではあるね。」



「で…ですよね…」















………………………………



緊迫する試合内容。


見る者も1つ1つのプレーに息を飲んだ。


クロもその1人であったことに間違いはない。


が、


現状は既に9割方支配されていた。


今の場はいわば必然。


あとは脳裏にある想像が現実となるその瞬間を目撃することさえできれば、


勝利を確信することができるといったところ。


クロは安堵感を求めた。


この極度の緊張から、


少しでも早く解放されたいと思っていた。



………………………………














     コート



「1本取ろうッ!!!!!」



ボールは秀皇。
セットプレーからの展開。

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