《MUMEI》

「紗稀」


目線を上げると、ニッコリと微笑む輝くんの顔が。



ふうっと息をはいて、輝くんは
紗稀の傍にしゃがんだ。





「‥‥つまんなかったろ?」



首を傾けてポツリと呟く。



「そんなことない!!なんかさ、ボールが生き物みたいだった!!」





紗稀の表現力がおかしかったのか隣にいた輝くんは吹き出した。



「何それ!“生き物”って‥‥」




バカみたいに笑う輝くん。



―自分が言ったことに後から急に恥ずかしくなってしまった‥‥。

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