《MUMEI》
生まれ落ちる
北流魂街第80地区「更木」。

血で血を洗う、そんな街に赤い少年は流れてきた。

死んでから、死神に渡されたカード。

そこに書かれていたのは、自分がこれから住む場所。

妙なことに、更木にやって来てから数日。

日本刀が自分の手の元にあった。

「オイ、ガキ。良いもん持ってんじゃねえか・・・!」

それは、盗賊だと思われる男。

更木に住んでいたという、「剣八」という男がいなくなってからも、この街は更に荒れていた。

「・・・・んで」

「ああん?」

盗賊風の男はわざと耳に手を当てる。

聞こえません、と言わんばかりの。

「お前になんで渡さなきゃならない?」

ゾワリ。

男の背筋に鳥肌が立つ。

それは、赤い少年が放ったものだった。

「何をしたのかしらねえが、俺はこの街で最強になってやるぜ!お前のその刀でなァ!」

男は持っていた刀を構えて、少年へと走っていく。

その目は、殺気で滾っているのではない。

恐怖に染まっているのだ。

―――なんだ、なんだ!コイツ!

赤い髪の少年は同じように走る。

自分が何故か手に持っていた刀を使って。

走っていって、刀を振り下ろす。

その頭に向かって。

ブチュッ。

グシャッ。

気味の悪い音が響くが、誰もそんなことは気にしない。

それが、この街の日常なのだから。

盗賊の男がやられると、続々と仲間が集まってきた。

異様な切れ味を持つ、その刀を奪う為である。

「かかって来いよ。それで、少なくとも楽しませてくれるんだよなァ?」

この日この時。

後に護廷十三隊に入ることになる、もう一人の「更木」と名乗る男が姿を現した。



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