《MUMEI》 昔からのキスわたしの幼馴染は、ちょっと変わったヤツだった。 キレイな顔をしているのに、その表情は滅多に動かない。 せめて笑顔を浮かべてほしくて、わたしは小学生時代、少ない知恵を出して、イロイロしてみたが…みんな失敗だった。 「ねぇ、何でそんなことするの?」 と、ある日、アイツに聞かれた。 それは手品を見せたら喜んでくれるだろうかと思ってやったみたが、仕込んでいたネタが地面に落ちて、気分まで落ち込んでいた時だった。 「だってお前…全然笑わないじゃないか」 泣きそうになるのを必死に抑えて、わたしは真っ直ぐにアイツを見つめる。 「お前、せっかくキレイな顔をしているのに、笑わないなんてもったいないだろう?」 「…それ、女の子のキミに言われると、結構複雑なんだけど」 そう言って遠い目をされた。 「わたしは笑うから良いんだっ! でもお前は全然笑わないじゃないか!」 でも怒ったり悲しんでいるところは、見たことがあった。 次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |