《MUMEI》 2それはどん臭いわたしが、他のコにイジメられているのを知られた時だった。 「何で黙っていたの?」 とても不機嫌な顔をされて、わたしはその表情を見るのが始めてだった。 だから悲しい気持ちもふっ飛んで、嬉しくなってしまった。 「何で笑ってんの? イジメられるのが嬉しいの?」 「そんなワケないだろう。でも…お前のブスっとした顔を見れて、嬉しいんだ」 正直に満面の笑顔で言うと、今度は哀れみの眼差しを向けられた。 「キミって…本当にバカだね」 「なっなにおー!」 「ったく」 アイツはため息をつくと、悲しそうな顔になった。 「キミのこと、全部知っているつもりだったのにな…」 そう呟くと、アイツはわたしを置いて行ってしまった。 「おっ怒ったのかな? それとも呆れたんだろうか…」 わたしがイジメられても平気だったのは、アイツがいたから。 昔から変わらず接してくれるアイツがいたからこそ、わたしは耐えられたのだ。 前へ |次へ |
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