《MUMEI》 3だからもし、アイツまで離れてしまったら…悲しかった。 けれど翌日、ケガをしたアイツを見て、その悲しみがふっ飛ぶほどに驚いた。 「おっおまっ…どうしたんだ? そのケガっ!」 「…別に」 ふいっとそっぽを向いて、アイツは何も言わなかった。 ―後から知ったことだが、アイツはあの後、わたしをイジメていた男の子達とケンカしたらしい。 しかも三対一での圧勝だったという…。 「けっケガをしてたなら、寝てた方が良いんじゃないか?」 「…ちょっと聞きたいことがあってさ」 「ん? 何だ?」 オロオロするわたしとは反対に、アイツは相変わらずの無表情だった。 「キミはボクが笑えば、嬉しいの?」 「えっ? あっああ、嬉しいが…」 「じゃあ…」 アイツはわたしの両肩を掴み、顔を近付けてきた。 そして…唇に唇を付けられた。 ちゅっ 「………えっ?」 驚いて眼を丸くするわたしとはこれまた反対に、アイツは始めて微笑んで見せた。 前へ |次へ |
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