《MUMEI》 4「あっ、笑った…」 「うん。こうすると嬉しいから、ボクは笑えるみたい」 「なっならお前の笑顔を見たい時は、口を付ければ良いのか?」 すると一瞬にして、アイツの顔が真顔に戻った。 「…キミ、キスの意味、知らないんだね」 「へっ? キス?」 人よりどん臭かったわたしには、当時、キスの意味を全く理解していなかった。 だから口付けのことも、手と手をつなぐようなものだと思っていた。 「まあいいや。キミも嬉しそうだし」 「そっそうか?」 キスの意味は分からなくても、何となく胸がポカポカとあたたかくなっている。 顔も熱くなっていくのが、自分でも分かる。 「アレ? 何かヘンかも…」 鼓動もいつもより早くて、思わず胸に手を当てた。 「ふぅん。キミは考えるよりも、体で反応するタイプか」 「へっ? 何が?」 「ううん。その方がボクにとっては好都合だから」 そう言ってアイツは笑い、再び唇に唇を付けてきた。 前へ |次へ |
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