《MUMEI》
マータロット・ゴート
「ひゃっは!!もう魔力なんて残ってねぇもんなぁ!!!こいつに散々魔力吸われてたんだからよ!!」
空中で大きく斧を振りかぶり式夜から吸い取った魔力を解き放ちながら振り下ろす。
巨大な重力球が発生し、周囲の建物を圧壊しながら式夜へと迫る。
式夜の持つ刀が夜色の外套へと変化すると式夜を守るように全身を包む。
ドガガガ・・・ンン・・
轟音を響かせながら重力球が地面と激突、地面を大きく抉りながら消えていく。
「死んだか。死体が無いってのがつまんねぇよなぁ〜・・これじゃあの女の死体も瓦礫の下か。あ〜あ・・やってらんね。」
着地したハルバーが面白くなさそうに周囲を見回す。抉れた地面を上から落ちてきた瓦礫が埋め尽くし、式夜やリースの姿は無い。
「・・・お前がコレをやったのか?」
瓦礫を踏み砕きながら現れるごま。
「ひゃっはっは!!大物が釣れたぜ!!マータロット・ゴート、俺を楽しませてくれよ!!!」
嗤いながらごまへと突撃していくハルバー。
ガギィィン!!
大きく振るわれた斧とごまの剣がぶつかる。
片腕で式夜を抱えているため、片腕しか攻撃に回せない。
「蒼髪のヤツも黒ずくめのヤツも!!半死人ばっかで退屈してんだよ!!」
次々と振るわれる斧。
鎧の防御シールドを次々と叩き壊し、鎧にも傷が付く。
防御を完全に捨て、ハルバーに対して斬り返すが、式夜を庇いながら戦える相手ではない。
ガシャン!
ごまが剣を投げる様に手放し、大きく距離を取る。
「アイ、お願いするよ。あいつは僕が止めるから。」
式夜を地面に横たえ、拳を握るごま。
「はい、キティが戻ってきたらすぐ病院に連れて行きます。」
アイズが式夜の治療を始める。
「逃げとけば助かった命をワザワザ捨てに来たのかよ。」
ハルバーがアイズを睨むと声を上げた。
「アイに手は出させない、式夜にも!!」
拳を振り上げ、突撃していくごま。
叩きつけるように振るわれる斧を拳で殴り止め、アイズから離すように前へ前へと押す。
「剣無しじゃただの鈍いマヌケだな!!」
ゴン!!
斧を旋回させ、拳を受け流すと、柄の部分でごまの頭部を殴り飛ばす。
「があああああ!!」
振るわれた拳がハルバーの体を捉えるが、拳に合わせて後ろに飛ばれたためダメージは無いようだ。
「呆れるくらい鈍いなぁ!!くっくっく・・頭を潰してやるぜ!!」
数回旋回させた斧には魔力が集まり、陽炎のように景色が歪む。
「ああああああああああ!!!」
ハルバーへと突進していくごま。
合わせるように大きく振りかぶって斧を地面へと叩きつけるハルバー。
ドガガガガがガガガガ!!!!!!!!!!!
ごまの鎧の防御シールドを破砕し、鎧も大きく抉りながら衝撃波が路地を走り抜けて行った。
「ったっく・・・・どんだけ高性能な鎧・・着込んでやがんだ。」
ベッと血を吐き出し、吹き飛ばされてやや離れた位置に立つごまを睨む。
ただハルバーを睨むごま。
「けどま、あっちはお陀仏だろ?」
ハルバーの視線がごまから外れ・・
ごまが不振そうな顔を浮かべながらも、ゆっくりと後ろを振り返る。
破壊しつくされた路地、黒い服に覆いかぶさるように倒れている白い服・・

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