《MUMEI》
乗り気
「肝試しぃ?」
洋平の提案を聞かされた女子達は、お互い顔を見合わせながら、どうするか相談をする。
まだ窓際にいた司は、その様子を見ながら、どうせ拒否されるに違いないと思っていた。
だが…
「いいじゃん!行く行く!」
「うん。何か面白そうだし!」
予想は外れ、かなり乗り気な女子達。その中でも優香が一番興味を示している様だった。
「何処かいい場所知ってんの?」
「あぁ、下調べはバッチリだぜ!」
「へぇ、珍しい。で、何処なの?」
「フフ…それは当日のお楽しみって事で。」
「何それ〜!」
楽しそうに会話する優香と洋平を見ながら、少し嫉妬する司。
「ていうかさ、男って洋平だけ?」
その三人の女子の一人である真弓が、不服そうな顔をして尋ねた。
「んだよ、俺だけじゃ不満か!?」
「ん〜、て言うか不安。」
真弓のその言葉に他の女子二人も声を揃えて同意する。
それもその筈、洋平はかなりガサツな性格で、物事を先頭切って進めるのが余り得意なタイプではない。
「はいはい、そう言うと思いましてね、もう一人ちゃんといますよ。」
洋平自身その反応を見越していたのか、敢えて反論することはなく、そう言って司を手招きした。
「マジかよ…」
司はボソッと愚痴りながらも、その輪の方へ近付いていった。
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