《MUMEI》

「あっ!紗稀こっち〜!!」


両手を振っている志栞。
その周りには侑理と男子3人。



カッカッ。


下駄の音が響き渡る。
小走りで近付いていく―。


でも、だんだんと顔がはっきりとしてくると紗稀は息をのんだ。



―あれ?み…見間違いだよね?






でも。それは見間違いではなかったんだ。



『「あ」』






言葉が同時に重なる。
紗稀は目をはっと見開いた。







―だって。男子3人のうちの中に輝くん居たんだから‥‥。

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