《MUMEI》

亜希は最後まで別れることを納得しなかった。

ずっと"愛香には矢崎くんしかいないよ"って、言っていた。

…後悔は…するだろうな。

仕方ないよね。

…私がもう少し…可愛らしい性格してたらな…。

こんな時ほんとに…亜希みたいになりたいと思う。



ーーー……



夏休みも終わりに近づいてきた頃。

私はあの学校の近くの公園に健太を呼び出した。

10分前に公園に着いたけど、健太は既に来ていて。


私に気がついた健太は、切なく笑った。

…いつものように優しくて無邪気な笑顔をしてくれたら…。

こんなに苦しくなんかならなかったのに。


何も言わずに、健太の隣に座った。

私と健太の間には、微妙な隙間が。

…もどかしい。


付き合い始めの頃は…こんなもどかしい距離なかったのにね。

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