《MUMEI》 「………健太…」 「ん?」 今…そんな優しく見つめないでよ。 もう、冷たい瞳で見つめてくれたほうがマシだよ。 「………ごめん…別れ…よ…」 抑えきれなかった。 涙が頬を伝っていくのが分かった。 …最悪…だよね。 いきなりこんなこと言われたら、私耐えられない。 自分が言われるの嫌だからって、自分から言うなんて…。 「………愛香…」 「健太も…その方が…いいでしょ…っ」 きっと、素直じゃない私より、あの子といた方が楽しいよね。 「……今まで…ありがと…」 「…………おう」 これ以上この場にいることが出来なくて、私は健太の顔も見ずに公園を去った。 もう少しで家ってとこで、雨が降り始めて。 …さっきまで…あんなに晴れてたのに。 でも、今は雨に感謝しなきゃ。 雨のおかげで…涙をごまかせるから。 前へ |次へ |
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