《MUMEI》

花火が夜空に舞う中。

他愛ない会話で盛り上がり、
花火大会もクライマックスに近付いてきた。


そんな時に輝くんの口から予想外な言葉が出てきたんだ。





「紗稀、走ろっか」


‥‥え?



―パシッ。

そう言って紗稀の右手を引いて走り出した輝くん。



「えっ、ちょ‥‥輝くん!?」


走る方向は逆方向―。
引っ張られてどうしたらいいか分からなくなってきた‥‥。




「いいから」




頭が真っ白の紗稀。
夏の心地良い風が吹いている。







そんな時に理解出来たのは
輝くんの手の鼓動だった―。

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