《MUMEI》

(嫌だッ!!終われねぇッ!!)



「はぁ………はぁ………」



走る日高と関谷を、
要兄弟は全力で追った。



(何で…何でッ!!!)















………………………………



道は日高が開いていた。


これまで速攻のパスをカットする為に前線へと飛び出していた上野だが、


先のプレーが印象から消えず飛び出すことができない。


一度で良かったのだ。


たった一度、


そんなシュートもあるということを見せ付けてしまえばそれで。



………………………………














(何でこの試合終盤にスピードが上がってんだこいつらッ!?)















………………………………



    ガクッ…



………………………………














下半身から力の抜ける感触を、


要たちは覚えた。


そして、
ようやく事態に気付く。















………………………………



(俺たちが…
遅く…なってんのか…?)



………………………………














「決めろ関谷ぁぁぁッ!!!!!」














………………………………



要たちにスタミナは残されていなかった。


一時切れかけた体力を繋ぎ止めたのはあくまでも精神力。


ほんの僅かな時間稼ぎ。


彼らの魔法は、


既に解けていた。



………………………………














    バスッ…!!















………………………………



観客たちは目撃した。


目にも止まらぬスピードでコートを駆け抜ける選手を。


その姿は正に、
電光石火という表現が相応しかった。



………………………………

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