《MUMEI》 「俺たちマジでッ……」 整列が終わった後も選手たちはコートを離れようとはしなかった。 今正にこの瞬間の勝利を噛み締めていたのだ。 観客席からの声援も、 止む事なく続いていた。 「…い〜加減にしとけよお前ら。」 ベンチから立ち上がったクロが選手たちに近づく。 「クロさんッ!!!!!」 「やりましたよ俺たちッ!!」 「わ〜かったわかった。 わかったからとりあえず、 向こうの監督さんに挨拶して来なよ。」 「あ…そうだお前ら!!」 「おっす!!」 ユキヒロに続き、 選手たちは秀皇ベンチへと走った。 「ふぅ…」 コート中央。 クロはため息をつく。 (ま、確かによ〜くやってくれたよあいつらは… 僕の期待以上の活躍までしてくれて… あれぐらいやってくれるとホント監督冥利に尽きるというか…) 「…けど、」 クロは顔を上げ、 観客席の方へと視線を向ける。 その先には、 明日の対戦を約束された相手。 聖龍高校の選手たちの姿があった。 「…明日はぜって〜勝ってやっかんな。」 ……………………………… 観客席 「…今、俺たちの方見てたか?」 「あぁ。」 「何か言ってたみたいだけど。」 「聞こえるわけね〜だろこの距離で。」 「い〜や。」 「あん?聞こえたのか桜井?」 「なわきゃね〜だろバカ望夢。」 「お゙め〜はいちいち…」 「何を言いたいかなんて… 大体想像つくだろ。」 「…」 「俺たちが言うのも変な話だけどよ〜、」 「ん?」 「この試合を見る限り、 相手にとって不足はなさそ〜だな。」 「…あぁ。」 「んじゃま、そろそろ行きますか。」 「だな。」 「じゃ〜な。赤高さん。」 ……………………………… 前へ |次へ |
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