《MUMEI》

     通路



「自分が聞くのもなんですが、そちらのミーティングは大丈夫なんすか?」



人気のない通路にクロたちはいた。



「簡単なミーティングは済ませたよ。


やはりショックがでかいみたいで凹んでるのが大半だ。


特に上野と要たちが責任を感じてるみたいだったが、


それでも明日の三決には勝つという意欲があるようだから心配はいらないさ。」



「…そすか。あ、すません。


こっちから話しちゃって。


聞きたいことがあるんすよね?」



「あ、あぁ…
どうしても気になる点があってな。」



「…なんでしょ?」



「キミは…


最初から気付いてたのか?


ウチの上野とそちらのポストとの相性を。」



「えぇ。」



「それは…何故だ?」



「上野の動きを見て、
上野はフォームから予測して動くタイプのキーパーだと思いました。」



(恭介が。)



「で、ウチのポストですけど。


あいつのシュートは酷くてですね…


非常に残念すぎる奴なんですよ…」



「お…おぉ…」



「フォームがちぐはぐというか…


とにかく安定しない。


しかもポストの癖に駆け引きをしたがらない。


勘だけでコースを決める。」



(愚痴ってんのか…?)



「でもだから…
対上野に関しては使えると思いました。」



「ん…」



(な…なるほど…)



これ以上語らずとも、


何故クロが上野攻略に沖を選んだのか?


秀皇監督にはそれが理解できた。



「俺は…わからなかった。」



「ん…」



「…あんなタイプの選手もいるんだな。


それを理解できず、


見抜けなかったのが敗因か…」



「…」



落胆の表情を浮かべる秀皇監督に対し、



「それは違います。」



クロは彼が発した言葉を否定する。



「え?」



「それは要因の1つに過ぎませんよ。」



「?」



「大きく敗因に関わったのはまた別のことっす。」



(別の…こと…?)

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