《MUMEI》

「に、200!?」



「そうっす。
信じるには十分な数字でしょ?」



クロは笑顔でそう言った。



「これが…自分の考えた戦略の全てです。


計算外だったのは上野が速攻のボールをガンガンカットに来たことですけど、


それはあいつらが勝手に乗り越えてくれました。


正直あん時は焦りましたね。」



クロはまた笑顔でそう言った。



「ふっ…ははは!!」



クロの話を聞き終えた秀皇監督は、


大きく笑った。



「全く完敗だ。
俺なんかとは全然次元が違うなキミは。」



「んなこと…ないと思いますけど…」



「いや、俺にはとてもそこまで計算はできなかった。


キミは…キミはあの試合、


コートに立たずしてコートを支配していたんだ。」



「…すっげ〜過大評価してません?」



「いや、こんな気分にさせられたのは初めてだ。」



「え?」



「上手く指示を出せずに負けた。


これまでそう思ったことは何度もあったが、


これほどまでに選手じゃなく、


俺自身が劣っていたと考えたことはないよ。」



「そう…すか。
何か…照れますね…」



「黒田…小太郎くんだったか?」



「あっ、そうっす。」



「明日の試合…応援しているよ。」



クロは、
また笑みを浮かべる。



「…ど〜も。」



挨拶を交わし、
2人は会場を後にした。


夕焼けの光が、
時間の流れを教えてくれていた。


つい数分前まで熱気を帯びていた会場は、


嘘のように静まり返る。

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