《MUMEI》
ヒマワリ畑―揺るがない思い―
未だに歩雪は今宵から目を離そうとはしない。
今宵は意を決して口を開く。
「・・・・・・いきなりどうしたの?」
「こーは、オレが前に言った言葉忘れた?」
「え?」
言葉・・・・・・?
今宵の揺らいでいる目を見て、歩雪は話を続ける。
「『ずっと捕まえとく』って言ったよね?気にしてくれなかった?」
「そ、そんなことないよ!!」
気にしすぎてどうしようと思ったんだから!!
今宵はぶんぶんと両手を振る。
「そんなこと言ったのは冗談じゃない。こーだから言った」
「歩雪くん・・・・・・」
真剣な眼差しで見つめる歩雪に、今宵は戸惑いながら、しかし、しっかりとした口調で告げた。
「・・・・・・私だって、歩雪くんだからここに一緒に来てほしいって思ったんだよ?」
「こー・・・・・・」
「だってここは私にとって大切な場所だもん」
これは絶対揺るぐことが無いこと。
でも、歩雪くんが大切な人ってことも同じように、絶対揺るがない。
今宵はしっかりとした目で歩雪を見つめた。
「じゃあ、こーもオレと同じように思ってるって考えてもいいんだよね?」
「え?うぎゃっ・・・・・・!!」
突然、今宵は不思議な声を発しながら歩雪に腕を引っ張られる。
要するに歩雪に抱きしめられているようになっていた。
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