《MUMEI》

「んっ、ぁ…くるみちゃん///」

モジモジしているくるみに気付いたあきらが起き上がろうとしていたので、それを止めるとくるみに『出ていけ…』と目配せした。

「きゅっι」
「克哉さんι…くるみちゃん、ちょっと待ってね///」

そう言うとアキラは近くにあったイスに掛けてあったガウンを羽織るとベッドから下りて、くるみと一緒にトイレにいってしまった。


「……はぁ///」

(このまま…こんな調子が続いてしまうんだろうか…)

中途半端な気分のまま俺もガウンを羽織ると、いつものようにモヤモヤした気持ちを解消するようにキッチンを片づけた後、リビングであまり飲まないワインを煽った。

「チッチ出来たね〜ほら、お手て洗おうか」
「うんっ♪」

ソファーでゆったりしていると、洗面所の方からアキラとくるみの楽しそうな声が聞こえてきた。

ため息をつきながらグラスを揺らしているとパタパタという足音が聞こえてきた。

「どうした…」
「んとね…」

目の前に心配そうな顔をしたくるみが駆け寄ってきて、俺の顔を覗き込む。

くるみは俺の顔色を伺いながら、その小さな両手を俺に向かって広げてきた。

「…兄ちゃん、おりぇお手て洗ったよ」
「あぁ…偉いな…」
「ねぇ…怒ってゆの?」

両手をモジモジさせながら俺の様子を伺っていたくるみが、俺の膝をよじ上ってくると胸にギュッと抱きついてきた。

「あれ、兄弟で仲良しですね///」

アキラはくるみが俺にギュッと抱きついてまるで猫のように甘えてきていた姿を見て、微笑ましげな顔を俺たちに向けてきていた。

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