《MUMEI》

「愛香、早く!」

「…え、あ…えっと…はい、あーん」


自分でやってて寒気する…。


拓也の口にスプーンを近づけると、拓也はゆっくりと口を開く。

…これ、私が拓也の口の中までスプーン入れるの?


おそるおそるスプーンを口の中に運んだ。


「んん〜!うまっ!このオムライスやばいな!」

「え、あ…ほんと?」

「ほんとほんと!…てか、愛香、顔真っ赤じゃん!かっわいいね〜!」

「…うるさい!馬鹿!」


もう最悪!

何楽しそうに笑ってんのよ…。

私は何も楽しくないし。

一人だけ楽しんじゃって。


「…そんなに可愛い顔すると無条件で襲っちゃうよ?」

「馬鹿言わないで、もう」

「本気だったんだけどね」

「…怖い、怖い」


こいつは年中無休で危険だわ。

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