《MUMEI》

私達は小さな空間で二人きり、ピタリと身を寄せ合った…。



その姿は誰にも見えない――…。



出来杉「…し…しずか君……。」



私の肌を通じて伝わる体温と、栗色の髪から立ち昇る香りに、出来杉さんは少し戸惑うように顔を赤らめていたの。



その鼻孔から洩れる生温かい吐息が、心なしか興奮したように荒くなっていたわ。



しずか「うふっ……静かにして…。」



私は、そんな彼のナイーブな心を弄ぶように、彼の身体を抱き寄せて、携帯電話の声に耳を澄ませたの。



私の左手には“黒いノート”が開かれ、右手にペンを構えていたわ――…。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫