《MUMEI》 その後、ずっと沈黙が続いてた。 「…ごめん…っ今のことは全部忘れて」 寂しい瞳。作り笑顔。 「…あいつら待ってるから早く戻ろっか」 …なんかすごく涙が流れてきそうで、 輝くんのTシャツの裾をギュッと握った。 そしたら紗稀の右手を握ってくれた。でも… 輝くんの手はさっきみたいな 熱や温もりはなくて すごく冷たかったんだ…。 冷たくなった手と手。 さっきまで夜空に咲いていた花火はもう終わってしまった。 良い思い出だったはずなのに 残ってしまったのは “悲しみと疑問”の感情だった。 前へ |次へ |
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