《MUMEI》













「体育か〜めんどくさいな〜」









ハァ、と茹だる。










「あれ?花笑体育得意じゃなかったぁ?」








疑問符を浮かばせながら花笑を覗くように問い掛ける











「得意なのは得意だけどダルいんだよね、着替えたり動いたりするの」

「なにそれ」

「アンタの祖先って猿じゃなくてナマケモノなんじゃないの?」

「七瀬、お前今あたしの存在全てをバカにしたな」
「してないしてない」













またも口喧嘩が勃発しそうな雰囲気だ。
だが葵が間に入りながら、













「そう言えば七瀬も運動神経良かったよね」

「まぁ嫌いじゃないね。体動かすのは…、陸上部だし」

「運動に関して不得意なものないもんね」

「ん―…まぁね」










七瀬は確かに運動能力が高い

走るのはもちろん、球技や武道なんでもイケる見た目に応じた才能だ。















「いいな〜あたし運動オンチだから何やってもダメなんだよねぇ…」

「え、いや別にいいじゃん!葵可愛いからそうゆう不得意も可愛く見えちゃうって!」

「だよね〜」

「…………………………」

「七瀬、葵こういうヤツだよ」











肩をポンと叩く花笑、

落ち込まないよう考えて言葉を並べたのに何だか無駄になったような感じ…。

そうだ、葵はこういう性格だったなと再確認



















▼▽










あっと言う間に4時間目、
まぁ 待ちに待っていた女子達はやっと4時間目か、と言うところか…


…………着替えるのめんどくさい













「花笑―早くしてよ」

「……………あー、わかっ……って早ッッ!張り切りすぎじゃありませんか七瀬さん!?」

「あなたが遅いだけですよ花笑さん」












振り返るともう既に着替えて準備万端の七瀬が仁王立ちしていてさすがに引いた。

ここまで男に飢えていたとは…
なんとも言い難い虚しさが込み上げてきた



髪もちゃんとセットして可愛くシュシュでまとめている。うん、女の子だ



一方花笑はそんなこと全く気にしない女だからいつものようにスッピンに欠伸、髪もまとめない気だ。













「ちょっと!髪ぐらい可愛くしなさい!」

「うぜーよオカン」

「んだとコラッ!!」











いきなり後ろからあたしの髪を持ち上げてきた。あたしはビックリして目を開く












「なッ……!」

「ほらほら暴れない!結ってあげるから」

「いいって別に!」

「アンタ少しは可愛くなろうとか努力しないと女に生まれてきた意味ないわよ?」

「い―や―だ―、めんどくさい―」












否定する花笑なんか無視して手際よく髪を結っていく、マジでオカンか!と言いたくなる。
花笑は髪が引っ張られる度に「あ―」とか「う―」など訳のわからない呻きを上げた










「出来た!」













3分程度で完成

ニコニコ満足気にあたしを見てくる



これでいいか?これでもう思い残すことはないか?




ハァ、とため息を溢したくなる。















「花笑可愛い〜」

「…………どうも」














ピョコピョコしながら葵がやって来た。













「滅多にお目にかけないね写メっていい?」

「やめてください」

「否定されると余計にしたくなるんだよね〜」

「ドSか!!」













うぁ〜、髪引っ張られて地肌痛―


あまり結ったことないから慣れてないのかなぁ?













【キーンコーンカーンコーン……】










「ヤッバ!予令鳴っちゃたよ」

「早く行こ―」

「えぇ、走るの…?」










バタバタと体操着で廊下を走った。













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