《MUMEI》

「君、何そんなとこで座り込んでんの…」


頭上からそう聞こえた。

低い声だから、多分男の人。

見上げてみたけど、意識が朦朧としているせいか視界が歪んでて顔がハッキリ分からない。


「…あれ?お前、米倉瞳?米倉か?」

「あれぇ〜?何で私の名前知ってるのお〜?ふわぁ〜」

「ちょっ!おいっ!起きろって、おい!」




そこで私の意識は完全になくなった。

そこから記憶がない。

多分、その男の人にもたれ掛かりながら倒れてしまったんだと思う。


途中、ゆらゆら揺れていた気がした。

宙に浮かんでいたような感じ。


ほんとに全く意識がなくて。


「米倉、そろそろ起きろ」


そう聞こえたけど、私は目を開けることも起きることもできなかった。

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