《MUMEI》

とにかく絵に描いたような堅物一家なんだ。
家ん中だって俺ん家みてーにぶっ散らかってない。


「ク〇リンはねー、こう描くぬん」

俺はシャーペンでサササっと描いてみせる。

…ああ…、やっぱりなんだかわかんねー絵になっちゃったし。

「それがクリ〇ン?」

「そ、そうだぬん」

直哉はノートを掴み、じっと俺の描いたクリ〇ンに似ても似つかないものを見た。




「そうか、分かったよ」


直哉はテーブルに置いてあるメモ用紙を取り、サササと…






俺が描いた絵とそっくりそのままの…


似ても似つかないクリ〇ンを…



…完璧に描いてしまった。




「……」



「ゆうの趣味もちょっとは理解したいからな」


と言いながら俺の髪をくしゃりと撫でた。

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