《MUMEI》

「いっいえ…。来てくれただけでも嬉しいですよ」

青白い顔でぜぇぜぇ言っている九曜を見て、神無月は慌てた。

「ホントにゴメン。ちょっと遠かったからさ」

「いえいえ。それより依琉先輩から連絡が来まして、プールの方も終わったみたいですよ」

「さすが依琉ね。去年もあっと言う間に終わらせてたし」

感心とも呆れともつかない表情で、神無月は肩を竦めた。

「依琉先輩は順応力が強いですもんね」

「馴染みやすすぎるのよ。受け入れやすいと言うか…。まあ裏も表も<視>えるから、あんまり物事に深くこだわらないのかもしれないけど」

「それも良し悪しですが…。まずは俺のとこの封印を行いましょうか」

「そうね。後ろからせっつかれているし」

二人とも、青い顔で微笑みあう。

何故なら―二人の後ろには、異形のモノ達が迫って来ているからだ。

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