《MUMEI》
なんで?
.
振られた理由が気になる俺。
後から考えたらよく聞けたなぁって関心さえするが、当時は友を労るより先に、好奇心の方が強くって、つい…
「何で?」
って聞いてしまった。
そしたらウッチー、今度はあからさまに凹んだ顔して
「他に好きな奴いるんだって…。」
ってすげぇ切なそうな声で教えてくれた。
けれど俺はフォローするのに慣れてなくて
「お前を振るなんて、その子たいしたことないぜ?」
あるドラマのワンフレーズ思い出して、パクッて言った。
まぁ、案の定…臭い!とか、古い!とか言われてたけど、
「サンキューな。」
笑顔で言ってくれた。
そうそう、この笑顔。
ウッチーに涙は似合わないぜ?
ってことは言わずに
「がんばりますかっ!」
「がんばりますか!!」
もう一度いつものやり取りをし直して、俺らは体育館へ向かった。
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