《MUMEI》

「イヤなんだけどなぁ…」

先生のことは、今でも好き。

同じ部に入っているおかげで、温室で二人っきりで作業をすることもあった。

でもそれはきっと、他の部員達もしているだろう。

別にわたしが特別扱いを受けているワケじゃない。

その事実がわたしを打ちのめす。

「どうしよう? もう一回告白しようかな?」

でも前の告白を忘れられていたら、ダブルパンチの可能性がっ…!

「ふう…」

眼の前にあるのは、先生が丹精込めて育てた花壇。

今日はここで作業をするから、待っているようにと先生に言われた。

わたしだけしかこの温室にいないから、それは嬉しいんだけど…。

「アンタ達は良いわね」

キレイに咲き誇るパンジーや三色スミレの花は、先生が大事に育ててきた。

先生がずっと見つめて、優しく触れてきた花々。

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