《MUMEI》 4「イヤなんだけどなぁ…」 先生のことは、今でも好き。 同じ部に入っているおかげで、温室で二人っきりで作業をすることもあった。 でもそれはきっと、他の部員達もしているだろう。 別にわたしが特別扱いを受けているワケじゃない。 その事実がわたしを打ちのめす。 「どうしよう? もう一回告白しようかな?」 でも前の告白を忘れられていたら、ダブルパンチの可能性がっ…! 「ふう…」 眼の前にあるのは、先生が丹精込めて育てた花壇。 今日はここで作業をするから、待っているようにと先生に言われた。 わたしだけしかこの温室にいないから、それは嬉しいんだけど…。 「アンタ達は良いわね」 キレイに咲き誇るパンジーや三色スミレの花は、先生が大事に育ててきた。 先生がずっと見つめて、優しく触れてきた花々。 前へ |次へ |
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