《MUMEI》 5わたしはそっとパンジーの花に触れた。 春らしい可愛い花、わたしの大好きな花。 なのにこんな花達にまで嫉妬するなんて…。 「マジでガキ」 苦々しく呟いてしまう。 本当に自分が子供でイヤんなる。 先生と17歳も歳が離れているのがいけないんだ。 せめてあと10歳…いや7歳ぐらい、わたしの歳が先生に近かったら良かったのに。 「こら。花に向かってなんて言葉をかけているんだ、お前は」 「わっ、先生!?」 いつの間にか、先生が温室の扉を開けて中に入って来た。 「何かおもしろくないことでもあったのか?」 ジョウロに水を入れながら聞いてくる先生が、ちょっと憎らしい。 「うん、まあ…恋愛のことでちょっと」 立ち上がり、先生の顔色を見ながら言ってみる。 「そっか」 …だけ? ノーリアクションも良いところ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |