《MUMEI》 7春に咲く花で何が一番好きか聞かれて、わたしはパンジーとスミレと答えた。 その時も、今みたいに先生と二人っきりだったんだけど…。 わたしは水道で洗った手をハンカチで拭きながら、先生の背中を見つめた。 「じゃあ先生は、わたしの為に花を咲かせてくれたんですか?」 ビクッと、後ろから見ても分かるぐらいに先生の背中が動いた。 …ウソ? あっ、いや。本当だったの? カーッと顔が赤くなるのを感じる。 けれど先生の顔も、赤く染まっているのが見える。 わたしはゆっくりと先生の背中に近付いた。 そしてそっとその背中を後ろから抱き締める。 「…先生、覚えててくれたんですか? わたしの告白」 「わっ忘れるワケないだろう」 動揺している先生は、とても17歳も年上とは思えないほど可愛かった。 「じゃあ…本当に結婚してくれますか?」 前へ |次へ |
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