《MUMEI》

ジョウロを持つ先生の手が、ピタッと止まった。

「待ちくたびれてしまったのならば、すぐに言ってくださいね? わたし、先生に嫌われたくないから…」

うっとおしがられるぐらいだったら、好きだなんて言わない。

嫌われるんだったら、自ら離れる方がずっと楽だから…。

「わたし、本当に先生のことが好きなんです。だから好きなままで良いのなら…その証拠をください」

「お前なあ…」

振り向いた先生の顔はとても近い。

けれどお互い離れようとしなかった。

先生の体が、わたしに近付く。

そして…眼を閉じて待った。

やがてそっと、唇に感じた先生からのキス。

眼を開けると、先生は顔を真っ赤にしていた。

「…本当はせめて、お前が中学を卒業するまではやめておこうと思っていたのに」

「それじゃあわたしの方が待ちきれませんよ」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫