《MUMEI》 9ぎゅっと先生の頭を抱き締める。 高鳴っているわたしの心臓の鼓動を聞かせたくて、抱え込むようにした。 「…とりあえず、しばらくはお前とオレの関係は先生と教え子のままだ」 「はい、分かっています」 「だから何もしてやれない。オレにはせいぜい、お前の好きな花を咲かせてやることぐらいしかできない」 「それだけで充分です。それに…」 わたしは腕の中の先生に、にっこり微笑んで見せた。 「好きでい続けて証拠はちゃんと受け取りましたから」 そう言って自分の唇を指さした。 「…バカ。もうしないからな」 「はい。中学を卒業するまで、ガマンします」 可愛い人、わたしよりも純情かもしれない。 「そう言えば、パンジーと三色スミレの花言葉、知っているか?」 「えっと…」 「『純愛』って言うんだよ」 前へ |次へ |
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