《MUMEI》

ぎゅっと先生の頭を抱き締める。

高鳴っているわたしの心臓の鼓動を聞かせたくて、抱え込むようにした。

「…とりあえず、しばらくはお前とオレの関係は先生と教え子のままだ」

「はい、分かっています」

「だから何もしてやれない。オレにはせいぜい、お前の好きな花を咲かせてやることぐらいしかできない」

「それだけで充分です。それに…」

わたしは腕の中の先生に、にっこり微笑んで見せた。

「好きでい続けて証拠はちゃんと受け取りましたから」

そう言って自分の唇を指さした。

「…バカ。もうしないからな」

「はい。中学を卒業するまで、ガマンします」

可愛い人、わたしよりも純情かもしれない。

「そう言えば、パンジーと三色スミレの花言葉、知っているか?」

「えっと…」

「『純愛』って言うんだよ」

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