《MUMEI》
10
「それって…先生からのわたしへの気持ちだと受け取って良いんですか?」

「…じゃなきゃ、こんなに大切に育てたりしない」

少しムスッとした先生は、ちょっと子供っぽい。

「ふふっ。嬉しいです」

「でも本当にオレで良いのか? その、今はこうだが、10年もしたらオレは37だぞ?」

「何歳の先生でも、好きな自信あります。大丈夫です。だから先生」

「ん?」

「あと5年、待ってますからね」

耳元で囁くと、先生の顔はよりいっそう赤くなった。

「おまっ…小学生が何を言うんだ!」

「先生こそ、今の格好は何ですか?」

「うっ…」

先生は未だわたしの腕の中にいる。

もう反撃する気力はないらしく、わたしに頭を預けてくれる。

先生の頭を優しく撫でながら、わたしは思い出した。

パンジーと三色すみれのもう一つの花言葉を。



『わたしのことを、想って』

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