《MUMEI》

そして、そいつが倒れ込んだ瞬間、百合を抱き抱えて部屋を飛び出す。

洋服がボロボロの百合に、自分のブレザーを羽織らせ、どうすればいいか分からなかった俺は、たまたま通り掛かった2台のパトカーに助けを求めた。


「…すみませんっ…!」

「おお、君…って…その彼女どうしたんだ!?」


事情を簡単に説明すると、一台のパトカーがあの建物に向かい、もう一台のパトカーは俺らを保護してくれた。


百合はずっと震えていて、言葉を発することもなくて。


警察署で百合は今までのことを泣きながら全て話した。


あの男がどうなったかは知らないが、警察署へ連れ込まれるところはしっかり見た。


「…拓也…ありがとう…」

「いや…別にいいけど…とりあえず家に…」

「家には帰りたくない!絶対に帰りたくない!」

「え…は?何で?」

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