《MUMEI》 みんな4「涼ちゃん、怒ってる?」 作業着に着替える涼介に、清人が抱きついた。 「また!おまえは気持ち悪ぃな」 涼介は甘える清人を、引き剥がした。 「だ〜って涼介冷たいんだもん」 膨れる清人を見て、近くで着替えていた彰が笑った。 「ホモ」 「彰くん、バイと言ってくれたまえ」 清人は何故か得意気にそう返してから、今度は真面目な顔で、涼介の方に向き直った。 「まぁ…なんつーか、はしゃぎすぎたわ」 「別に気にしてねぇよ」 涼介が言うと清人は直ぐに笑顔になり、抱きついた。 「も〜う!だから涼ちゃん大好きっ!」 「だぁから、そういうのやめろって!」 作業着に着替え終わり、涼介と清人は長い廊下を、やる気のない足取りで歩いていた。 「俺はああいうの苦手だ」 涼介の唐突な言葉に、清人は怪訝な表情をした。 「あの新人」 「あぁ、彩矢ちゃんね」 「おまえ、もう名前覚えたのか」 「当たり前だろ?可愛い娘の名前はちゃんと覚えろって幼稚園のときに教わ…」 「はいはい、教わった教わった」 涼介は清人のくだらない話を遮り、続けた。 「俺は興味ないし、別に気にしてないから」 清人は意味がわからないといった様子で、涼介を見ている。 「俺に気使わなくていいから」 「そ…そっか、俺ら親友だもんな、いや、兄弟か?」 「兄弟はやめろ」 即答する涼介の肩に清人が、腕をまわす。 「なんだよ冷たいなぁ!」 前へ |次へ |
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