《MUMEI》
電話の向こう側
気持ちのやり場に困窮した出来杉さんは、ワインセラーのその後の様子を確かめようと、携帯電話を耳にあてているようだったわ…。



出来杉「…キラ様……。」



やがて出来杉さんは、透明マントの隙間から腕を出して、私に携帯電話を差し出したの――…。



出来杉「僕はテレパ椎を食べてるから――…


…これはキラ様が使って下さい。」



しずか「――…。」



私は黙ったまま、虚空に浮かび上がる“腕”から携帯電話を受け取ったの。



*ジャイ子「嫌あああッ!!お兄ちゃん!!お兄ちゃあああん!!」



その電話からは、耳にあてなくても聞こえるくらいの声が漏れていたわ――…。

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