《MUMEI》



「あ、いたよ〜」

「うわ、ヤッバ!」





葵の元に向かう七瀬と花笑

あぐらをかきながら指をさす。
隣で興奮する七瀬に引いた







「きゃ―走った。きゃ―パスした!」

「いや全然まったく活躍してないよそれ」

「いいの、千尋くんは動いてるだけでかっこいいから」

「よく見えんが」







ん―、と目を細めて探すが誰が誰かわからない






「花笑は目が悪いもんね〜コンタクト買いなよ」

「…………うーん、時間に余裕があればね」

「弟二人の面倒みなくちゃいけないから大変ねぇ」

「ちなみにお父さんの面倒もね」

「あぁ〜あのハイテンションパパか………大変ね」









染々、心のそこから言われた気がした。






ふと、周りを見渡せばマット運動に飽きたクラスの女子達はあたし達同様ネット際に腰を下ろし3組の体育をキャイキャイ眺めていた。

黒神先生もマット運動に飽きたのか寝そべって女子の光景を眺めていただけだった




……………いいのかそれで













「やっぱ3組の男子はレベルが違うわ〜」

「あたし達のクラスの男子がジャガイモに見えてくるね〜」

「ジャガイモ……」







今日の晩御飯は肉じゃがにしようかな、
糸こんにゃくもあったし…








そんなことをボーッと眺めながら考えてるとネットごしからボールがコロコロと転がってきた。

あたしは無意識にそれに触ってしまった











「あー投げてよそれ、山田花子」








ボールを持ったあたしのとこにやって来たのは、気だるげな東堂千尋




周りの女子達は羨ましそうに見てくるし3組の男子達は意味ありげに笑っている…


イラつく……………




誰もかれもがお前を見てキャイキャイ言うと思うな。意気がるな。調子にのるな。

あたしは黙ってネットをくぐり抜けボールを投げる準備





東堂千尋も黙ってめんどくさそうに受けとる準備、






ふんッ そんな緩い構えでいいのか?
あたしが投げる球は……………









「だからあたしの名前は





鈴村花笑だっつってんだろうがァ!!!!」






豪速球なのにさ




ドゴシャ………!!!










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