《MUMEI》
はなあらし
その日は満開の桜が恐ろしいぐらいでした。
藤壺さまがお宿下がりをされていると聞いてしまい、感情のコントロールが出来なくなってしまいました。従者の衣を奪い夜の道を走ったのでした。
この恋が許されはずもなく、許されねゆえが燃える恋。
闇にまみれ、光は藤壺さまのもとへ。
「桜が恐ろしいほど美しいですよ。まるで魂をすいとられてしまうほどに…」
光は御簾を掻き分けた。
そこには数年前から時を止めた用な藤壺さまがいた。「光さま、ここにいらしてはなりませぬ。桐壺の帝に見咎められたら大変です。どうかお屋敷におもどりください。」
光は帯を解いて肩から衣を落としてしまう。
「この恋が罪な事はわかっております。許される恋など光にいりません。光には藤壺さましかいりません。」
さらさらと髪がおち、瞳からは雫がおちる。
「光さま…」


この日の行為により、後日光は懐妊したが桐壺の帝がすべてを隠し、自分の子供として育てのちに冷泉帝として帝位につくことになる。

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