《MUMEI》
匂い
便器には黄色くなった水と、陽菜の使ったティッシュがあった。

「そこでいつもしてるみたいにしてよ」

扉の向こうから、陽菜が言った。








いつもしてるみたいに……。










僕は黄色くなった水を見つめた。
そして、便座に手を置いた。
微かだけど、陽菜の温もりが残っている気がした。

(ここに陽菜が座ったんだ…ここに座ってオシッコしたんだ……)

顔を近付けると便器から、アンモニアの匂いが漂ってくる。

(陽菜の匂い……)

今まで感じたことない陽菜に、僕の心臓は壊れてしまうんじゃないかと思うくらいに脈打ち、頭はクラクラして……。
我慢できなくなった僕はパンツを下ろして、痛いくらい大きくなった欲望を握りしめ、ゆっくり擦った。




…陽菜……陽菜のオシッコ、いい匂いだよ






僕はもっと陽菜を感じる為に、 しゃがんで便座に顔を近付けた。


思った通り陽菜の匂いが、さっきより強く感じられて僕の手の動きも速くなる。





僕は陽菜のモノで、陽菜は僕のモノなんだ。
じゃなきゃ、こんな恥ずかしいもの見せられるわけがない…。 陽菜も僕のことが好きなんだ。



(陽菜……愛してるよ)



陽菜の不器用な愛情が、本物だと確信した僕は、口にできない想いを、心の中で伝えながら便座に口づけ、そっと舌を這わせた。


陽菜の女性器を舐めるよう に……。


そうしていると、僕はすぐに絶頂を迎えそうになった。

「あぁ…あ、はぁ……」

「ねぇ!」

絶頂を迎えようとしていた僕を、陽菜が呼んだ。

「アンタ、ほんとにしてんの!?」

陽菜の言葉に驚いて僕は、慌てて手を離した。

「し、してないよ!」

「そう…じゃあ、早く出て来てよ、 遅刻するでしょう」

陽菜は僕を興奮させるくせに、 いつも最後までさせてくれない…。

「い、今出るよ」

そう言って僕は、便器の上の方にあった陽菜の使ったティッシュを手に取り、ポケットに入れて鍵を開けた。




外に出ると、陽菜が思いきり平手打ちしてきた。

「な、なに!?」

びっくりしている僕に陽菜は、もう一度平手打ちをした。

「ティッシュ、どうしたの?」

僕はギクッとした。

「どこにやったの!?」

陽菜が怒鳴った。
仕方なく僕は、ポケットからティッシュを出した。

「捨てて」

躊躇う僕に再び、陽菜が怒鳴った。

「早く捨ててよッ!!」

僕は言われた通り、ティッシュを捨てた。

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