《MUMEI》

私、今森 陽菜には親友がいた。
名前は戸村眞季。



私は母親と、十個離れた兄の三人で住んでいた。

母は水商売の仕事で生活を切り盛りし、どこにそんな暇があったのか、いろんな男を家に上げていた。

家に帰らないことがあるのも、 別に珍しいことではなかった。
三日間、兄と二人きり。 そんな生活も慣れっこだったのだ。

母がいなくても、寂しくなんかなかった。
母親といっても女だから。
いつからか私は、そう割り切るようになっていた。

ただ兄といる時間は、苦痛以外のなにものでもなかった。






兄は、私と遊ぶのが好きだった。


正確には『私で遊ぶ』のが好きだった。

夜になると、兄は私の布団に入ってくる。

「陽菜、遊ぼうか」

なんて言いながら。

「…もう…寝る時間だよ?早く寝て学校行かなきゃママに怒られちゃうよ」

私は決まって、そう答えていた。

「大丈夫だよ、お兄ちゃんが起こしてあげるから」

兄はいつもそう言っていたけど、次第に言う通りにしないと怒るようになり、私も何も言わなくなった。




兄はいつも私の喉の奥まで、自分の大きくなったモノを入れてきた。

抵抗を諦めた私は、いつの間にか兄の玩具と化していたけど…兄に怒られるなら、その行為を我慢してる方が、いくらかラクだった。


少しの間だけ…。 ほんのちょっと我慢すれば、すぐ終わる。


毎回自分にそう言い聞かせてたのを、覚えている。







そんな毎日の中、私は眞季という男の子に出会った。

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