《MUMEI》
守る為に
歩く度にゴルフボールが、僕の体内で擦れる。
けど僕は陽菜の為に、内側から込み上げる快感に耐えた。
気付かれないように、真っ直ぐ前を向いて歩いた。








「……眞季ちゃん」

教室に入ると、佐野さんが少し怒ったような表情で、僕を呼んだ。

「どうしたの?」

佐野さんは、そう聞く僕の手を無言で掴んで、屋上へ向かった。






誰もいない屋上の隅に座って、暫く黙っていた佐野さんが、口を開いた。

「昨日……どうして置いて行ったの?」

そう聞かれ、僕は思い出した。
陽菜と真鍋のことで頭がいっぱいで、佐野さんのことをすっかり忘れていた。

「あんなとこに置いて行くなんて酷いよ…」

佐野さんは、泣き出してしまう。

「……ごめん」

こういう場合は謝るしかない、 そう思って謝ると佐野さんが抱きついてきた。

「ほんとに?ほんとに悪いと思ってる?」

潤んだ瞳で僕を見つめる。

「え?…う、うん、思ってるよ」

どちらかというと僕は、今の言葉に罪悪感を感じていた。
だって佐野さんに言われるまで、置いて行ったことなんて忘れてたし、怒られてる今だって鬱陶しく感じていたから…。

「…じゃあ、キスして?」

佐野さんが、とんでもないことを言い出した。
彼女にでもなった気でいるんだろうか…。僕と陽菜の関係に、気付いていないんだろうか…。



佐野さんも、真鍋と同じ部類の人間なんだろうか…。
僕と陽菜の関係を壊そうとしているんだろうか……。




佐野さんを見ると、まだ潤んだ瞳で僕を見つめている。




陽菜だったら考えられない行動だ…。



そう考えた瞬間、僕の脳内がまた陽菜で、いっぱいになった。






今ここで……僕の胸で、こうしているのが陽菜だったら…。


僕の想像は、どんどん膨らんだ。
佐野さんと陽菜は、性格も見た目も真逆なのに、どうして佐野さんが陽菜に見えてくるのか……。



僕の腰に絡む陽菜の細い腕……。
涙に濡れた長い睫と、吸い込まれてしまいそうなくらい、深い色した大きな瞳……。
桜色の小さくて薄い唇……。




佐野さんの行動全てが、陽菜で脳内再生されて……





気付くと僕は、佐野さんを強く抱き締めていた。
そして貪るように、唇に吸い付いた。


学校の屋上でこんなことをしていたら、すぐ誰かに見つかってしまうかもしれない…。
けど今の僕には、どうでもいいことだった。


誰かに見られてしまうかもという不安感よりも、陽菜に対する愛情の方が大きかったから。


スカートを捲り上げ、ショーツをずらして小さなソコを吸うように舐めた。
期待でもしていたのか、ソコは既に厭らしい液で濡れていた。

「…ぁ、ぁあん」

小さく喘ぐ声が聞こえてくる。 「もっと吸って」と言わんばかりに、手が僕の頭を撫で回した。
それに応えるように僕は更に激しく吸い、舐めた。



今の僕の行動には“犯す”という言葉が、ぴったりだろう。
今までこんな乱暴に、女の子に触れたことは無かった。
僕には、お気に入りのDVDを見ながら、激しく犯しているところを想像して自慰に更けるのが精一杯だと思っていた。
けど僕は今、犯している。
あのDVDみたいに、とまではいかないけど…。




でも僕は、成長したんだ!




もう根性がないなんて、言わせない…。
陽菜が想像してる以上のことを経験して、陽菜を驚かせてやるんだ。
陽菜が安心して、僕に躰を預けられるようになるように。

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